株主リストとは?株主リストの概要と必要になるケースについて解説

株主リストとは

株主リストとは登記すべき事項の変更・設定時に株主総会または種類株主総会の決議を要する場合、法務局に対して対象の株主を証するためのリストです。

例えば、会社の役員の選任には株主総会の決議が必要になります。そして役員が選任されればその旨を商業登記する必要があります。この時に、適切な株主総会決議を経ていることを証明する書類として、当該株主総会決議の対象となる株主の情報を記載した株主リストを作成して登記の申請書類として提出します。

株主名簿とも似た書類ですが、株主リストは登記のために法務局に提出する書類で、株主名簿と記載事項が異なっています。

株主リストの記載事項

株主リストに記載される事項は以下の情報です。

  • 株主の氏名(法人の場合は会社名)
  • 住所
  • 株式数
  • 議決権数
  • 議決権の割合

株主総会の決議が必要な登記事項が発生した場合に法務局へ提出します。様式は法務局のHP(https://www.moj.go.jp/content/001338385.pdf)にひな形があります。

なお、株主管理システム「Shares」では法務局の様式を元に株主リストを作成する機能を有しており、以下の様式の株主リストを出力することが可能です。

【留意点】

  • 株主リストは原則として登記事項ごとに作成する必要があります。ただし、複数の登記事項についてその株主が同じときはその旨を記載することで1通のみで足ります。
  • 住所は番地まで詳細に記載する必要があります。
  • 各株主が有する株式の数を種類株式ごとに記載しています。
  • 従来は法務局への届出印(会社実印)の押印が必要でしたが商業登記規則の改正に伴い不要になります。

株主リストが必要になるケース

株主リストは登記すべき事項について株主総会の決議が必要な場合に登記の添付書類として提出が必要になります。種類株主の有無や決議事項に株主全員の同意が必要かどうかによって、以下の4つのパターンに分かれます。なお、みなし決議により株主総会決議を省略する場合(会社法319条1項)にも,株主リストの添付が必要です。

  1. 登記すべき事項について株主全員の同意を要する場合
  2. 登記すべき事項について種類株主全員の同意を要する場合
  3. 登記すべき事項について株主総会決議を要する場合
  4. 登記すべき事項について種類株主総会決議を要する場合
株主総会の決議が必要となる主なケース
  • 商号、目的、本店の所在地等の通常の定款変更(会社法466条)
  • 取締役、監査役、会計参与、会計監査人の選任及び解任(会社法329条、339条)
  • 清算人の選任及び解任(会社法478条1項3号、479条1項)
  • 資本準備金の資本組み入れ(会社法448条)
  • 取締役会を置かない会社における株式の分割、株式無償割当て(会社法183条、186条3項)
  • 非公開会社における募集株式の募集事項の決定(会社法199条2項)
  • 解散(会社法471条3号)
  • 合併、会社分割、株式交換または株式移転(会社法783条1項、795条1項、804条1項)
種類株主総会の決議が必要となる主なケース
  • 種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合に係るもの(会社法322条)
  • 拒否権付種類株式の発行会社において当該拒否権の対象事項(会社法323条、108条1項8号)
  • 種類株主総会において取締役、監査役を選任できる株式が発行された会社における取締役、監査役の選任及び解任(会社法347条、108条1項9号)
  • 種類株式として譲渡制限株式または全部取得条項付株式を発行する場合における定款変更(会社法111条2項)
株主総会全員の同意が必要となる主なケース
  • 1種類の株式のみを発行する会社において全部の株式を取得条項付株式とする旨の定款の設定または取得条項についての定款変更(会社法110条)
  • いわゆるみなし決議で株主総会の決議を省略する場合(会社法319条1項)
  • 持株会者への組織変更(会社法776条1項)
  • 1種類の株式のみを発行する会社において合併または株式交換の対価が持分会社の持分等である場合の承認決議(会社法783条2項、804条2項)
種類株主全員の同意が必要となる主なケース
  • 既発行の株式について取得条項を付しまたは変更するための定款変更をする場合(会社法111条1項)
  • ある種類株主に組織再編の対価として持分等が交付される場合(会社法783条4項)
  • 種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定め(会社法322条4項)

1.登記すべき事項について株主全員の同意を要する場合の株主リスト

登記すべき事項について株主全員の同意を要する場合には、登記の申請書に株主全員についての株主リストを添付する必要があります。対価が持ち分となる組織変更がある場合等が株主全員の同意が必要になります。

株主リストには全株主の氏名、住所、株式数、議決権数、議決権の割合を記載します。

株主全員の同意を要する場合の株主リストの様式(株主管理システムSharesより)

2.登記すべき事項について種類株主全員の同意を要する場合の株主リスト

登記すべき事項について種類株主全員の同意を要する場合には、登記の申請書に株主全員についての株主リストを添付する必要があります。

種類株主全員の同意を要する場合(譲渡制限株式)の株主リストの様式(株主管理システムSharesより)

3.登記すべき事項について株主総会決議を要する場合の株主リスト

もっとも一般的なケースです。役員選任、増資等の株主総会で決議された事項を登記する際に株主リストを添付します。

このケースに株主リストに記載する株主は①総株主の議決権の数に対するその有する議決権の数の割合が2/3に達するまでの上位株主もしくは②上位10名いずれか少ない方の株主を記載します。

株主管理システムSharesでは記載すべき株主を自動判定し、株主リストを作成しています。

株主総会の決議を要する場合の株主リストの様式(株主管理システムSharesより)

4.登記すべき事項について種類株主総会決議を要する場合の株主リスト

登記すべき事項について種類株主総会決議を要する場合には、該当の種類株主について株主リストを添付する必要があります。このケースも株主総会決議が必要なケースと同様に株①総株主の議決権の数に対するその有する議決権の数の割合が2/3に達するまでの上位株主もしくは②上位10名いずれか少ない方の株主を記載します。

種類株主全員の同意を要する場合(譲渡制限株式)の株主リストの様式(株主管理システムSharesより)

 

まとめ

株主リストについて記載事項と必要となるパターンについて解説しました。

本記事で紹介した様式は株主管理システムShares(https://shares.qurebook.com)のものです。Sharesではオンラインで株主名簿を作れるシステムで、株主リストをはじめとした各種帳票をカンタンに作成することが出来ます。是非ご利用ください。